「推し活」と聞くと、アイドルやアニメキャラを応援する行動を思い浮かべる人も多いでしょう。ですが、近年はその意味が大きく拡大し、アーティストやスポーツ選手だけでなく、地域キャラクター、VTuber、さらには企業ブランドや商品にまで「推し」が広がっています。
最新調査では、推し活市場は年間3.5兆円規模に成長しているとされ、ファン一人あたりの年間支出額は約 25万円 にのぼるという結果もあります。
【参考:第2回 推し活実態アンケート調査より】プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES+2アドクロ+2
消費者は「モノを買う」だけでなく、「推しを応援するためにお金を使う」時代へとシフトしています。つまり企業にとって推し活は、単なる流行語ではなく、新しいマーケティング戦略の入口なのです。
では、なぜここまで推し活市場が急拡大しているのか?
そして一般企業はどうすれば、この熱量ある市場を取り込むことができるのか?この記事では、時事トレンドとマーケティングの観点からその方法を解説していきます。
推し活市場はなぜ年間3.5兆円に拡大したのか
Z世代・ミレニアル世代の消費行動の変化
推し活市場の中心はZ世代・ミレニアル世代です。彼らは「体験」や「自己表現」を重視し、モノ消費より“好きな存在への投資”を優先します。SNSでの「推し」を通じた自己表現文化が消費行動を後押ししています。
デジタルプラットフォームの普及
YouTube、TikTok、Instagram、ファンクラブアプリの普及により、ファンはオンラインで推しとつながれるようになりました。オンラインライブやグッズECの台頭も市場拡大の追い風となりました。
コロナ禍を契機としたオンライン化
コロナ禍により、従来のリアル中心だった「推し活」がオンラインに急速に広がり、デジタルイベントやバーチャル企画が主流に。これが推し活市場の拡大に大きく寄与しました。
推し活ビジネスのマーケティング・集客施策
施策1.推し活を「消費動機」として設計する
推し活消費は「応援のために買う」という新しい購買動機で動きます。コラボ飲料やタイアップ商品は、品質より「推しが関わっているか」が価値になります。この心理を理解した商品づくりが重要です。
施策2.ファン参加型プロモーションを仕掛ける
- Instagram・Xのハッシュタグキャンペーン
- ファン投票型の商品開発
- シリアルナンバー入りグッズの販売
ファンが「布教したくなる」仕掛けを作ることでUGCが増え、自然とSNSで拡散されます。
施策3.BPO・人材領域への応用
BtoBでも「推したい会社・応援したいブランド」という心理は存在します。採用や組織づくりにおいて、企業のストーリー性を高めることが応募意欲に直結します。BPOや制作会社も“推され方”の設計が重要になります。
推し活マーケティングの成功事例
事例1.飲食業界:キャラクターコラボ
アニメ・アイドルとのコラボメニューは、限定グッズ目的のリピート購入を生み、飲食店の集客に大きく貢献しています。
事例2.地域振興:ご当地キャラ・観光施策
ご当地キャラ文化は推し活×観光施策の成功例です。ファンは“聖地巡礼”として現地を訪れ、地域の経済効果を生みます。
事例3.小売・EC:限定コラボ商品
アパレルやコスメの限定コラボ商品は即完売が続出。「推しを身につけたい」「希少性を手に入れたい」という心理が購買を後押しします。
推し活ビジネスのマーケティング課題
課題1.ファン心理を理解するマーケティング人材
ファン心理は従来のマーケ理論とは異なるため、SNSネイティブな若手の知見を活かす仕組みが求められます。
課題2.長期的な関係性設計
単発コラボではなく、ファンクラブや定期イベントによる長期的な関係構築が不可欠です.
課題3.炎上リスクの管理
限定商品の品切れ対応など、ファン心理への配慮を怠ると炎上リスクが高まります。丁寧な運営が必須です。
まとめ
推し活市場は、単なるサブカル文化ではなく、すでに年間3.5兆円規模の巨大産業です。企業がこの市場を取り込むには、単発のコラボではなく「ファン心理を理解し、参加体験を提供する」ことが求められます。
そしてこの考え方は、BtoC領域だけでなく、採用やBPO、広告制作などBtoB領域にも応用可能です。推し活消費を「新しい購買動機」と捉えれば、企業のマーケティング戦略に大きなヒントを与えてくれるでしょう。










