営業成果を最大化する「行動管理」とは?属人化を防ぎ、再現性を高めるマネジメント術

会社・組織において、「成果が出る営業」と「成果が出ない営業」の違いは、どこにあるのでしょうか。

営業は結果がすべてと考えられがちですが、「結果」の裏には、原因となる「行動」があります。その行動を記録し、分析し、改善する――それこそが、成果を生み出す営業活動の再現性を高める鍵となります。

本記事では、営業マネージャーや営業部長に向けて、行動管理の重要性と実践ポイントをわかりやすく解説します。

営業の「行動管理」とは?

行動管理とは、営業担当者が日々どのような行動をとっているかを定量的・定性的に把握し、成果につながるプロセスを可視化・最適化していくマネジメント手法です。行動内容には、「数値化が容易なもの」と「数値化が困難なもの」があり、その両面からアプローチします。

たとえば「商談件数」「アポイント獲得数」「電話数」「メール送信数」「提案数」といった結果だけではなく、どのように実施したかという「行動の仕方」にも着目するということです。「数値化できる行動」だけを見てしまうと、単なる行動記録になってしまう可能性があります。

なぜ営業に行動管理が必要なのか?

営業は結果がすべて――そう考えられがちですが、「結果」には、原因となる「行動」があります。そもそも、「結果とは、日々の小さな行動が積み重なったもの」とも言えるでしょう。

たとえば、もし受注件数が目標に届かないとき、その結果だけを見ていては「なぜ達成できなかったのか」が見えてきません。そんなとき、日々の行動記録があれば、「そもそも商談数が足りていない」「提案まで至った案件が少ない」など、原因が見えるようになります。

さらに、結果を出し続けている営業パーソンの行動パターンなどの暗黙知を言語化して、チーム全体に共有することで、属人化を防いだ再現性のある営業モデルの構築にもつながります。

特に最近は表面的な数字だけ見て、なぜその結果になったのかという「原因」を考えない傾向があるので、注意しましょう。

行動管理ができていない営業チームに起きがちな問題点

行動管理ができていない営業チームに起きがちな問題点は、以下のとおりです。

  • 成果の振れ幅が大きく、組織としての安定性に欠ける
  • 優秀な人材が退職すると、ノウハウが失われる
  • 社員教育やスキルアップに時間がかかりすぎる
  • PDCAが回らず、感覚でのマネジメントに終始する

こうした状態では、ノウハウ蓄積やナレッジ共有がされず、組織としての成長が止まってしまいます。

行動KPIの設計例

行動管理を実践するにあたって、まずは「記録項目」を決めましょう。

KPI(行動の数値目標)の例としては、以下のとおりです。

  • 新規アポイント取得数
  • 商談実施数
  • 提案書提出数
  • 電話・メールの接触件数
  • CRMへのデータ入力率・登録数
  • 週単位の活動時間(訪問・提案・社内調整など)

重要なのは、これらを単なる「数値目標」として終わらせず、「行動と結果の因果関係」を分析し、改善サイクルに活かすことです。

行動を見える化する3つの管理ポイント

行動を見える化するポイントは、主に3つあります。

1.日報・週報の徹底

簡単でかまわないので、日々の行動を自分で振り返る習慣をつけることが成果の第一歩です。何にどれだけ時間を費やしたか可視化すると、「こんなに時間を使っていたんだ」と驚くかもしれません。

2.1on1ミーティングの活用

上司と部下が1対1で面談をする「1on1ミーティング」の機会を設けることも、おすすめです。数値化できる行動だけでなく、行動の裏にある「考え方」や「つまずきポイント」もヒアリングして、上司がフィードバックするとよいでしょう。

3.CRMやSFAツールの活用

CRMやSFAといったデジタルツールを活用する方法もあります。営業活動をツールで一元管理すれば、リアルタイムで行動の可視化・分析が可能になります。

行動管理がもたらす5つのメリット

行動管理がもたらすメリットは、主に5つあります。

  • 結果の再現性が高まり、チーム全体の底上げができる
  • 成果が出ない要因を迅速に把握し、的確な改善ができる
  • 組織に「行動文化」が根づく
  • マネージャーの指導がより具体的・建設的になる
  • 営業人材の早期戦力化につながる

まとめ

営業活動において、業務の属人化を防ぎ、組織で成果を出すには「行動」に注目したマネジメントが欠かせません。行動管理は、地道で面倒くさい作業に見えるかもしれませんが、その積み重ねがやがて大きな成果の差を生むのです。「なんとなくやっている」営業から脱却し、「狙って成果を出せる」営業チームを目指す第一歩として、行動管理に取り組んでみてはいかがでしょうか。

この記事の著者

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