Z世代・ミレニアル世代の消費トレンドの1つに「ご褒美消費」があります。彼らのご褒美消費には、物価高に伴う節約志向(コスパ・タイパ重視)と並行して、使うところには惜しまない「メリハリのある消費」をする傾向が見られます。
また、近年の消費トレンドは「金銭や時間の効率」から「心の平穏や自己充足」へと大きくシフトしている可能性があります。2026年は、メンパ(心の費用対効果=メンタルパフォーマンス)というキーワードが、最新の消費トレンドとして注目されている状況です。
今回は、Z世代・ミレニアル世代のご褒美消費トレンドを深掘りしていきましょう。
【データで見る】Z世代・ミレニアル世代のボーナスの使い道
若手社会人のボーナスの使い道や、ホリデーシーズンの消費行動にはどのような特徴があるのでしょうか。「マイナビ」と「アメリカン・エキスプレス」の調査結果から、リアルな懐事情を見てみましょう。
貯蓄と消費の黄金比は「7:3」(マイナビの調査)
マイナビの若手社会人を対象とした夏のボーナス実態調査によると、物価高の影響で貯金にお金を回す人が増えているそうです。特に「貯金:消費=7:3」とする人の割合が増加し、1つのボリュームゾーンになっています。
一般的な金銭感覚から見ると非常にストイックと言えますが、これは「納得のいくものにしかお金を出さない」という消費傾向へ変化してきている証拠でもあります。「残りの3割の消費」をいかに自社の商材に向けてもらうかが、今後の大きな課題となるでしょう。
出典:マイナビ
消費のトップは「自分自身へのギフト」(アメリカン・エキスプレスの調査)
アメリカン・エキスプレスのホリデーシーズンの消費傾向に関する意識調査によると、日本におけるギフトの対象は「自分自身へのギフト」がトップで、出費予定額の平均は約27,461円という結果になっています。自己研鑽や自分を労うことへの関心が非常に高いことが伺えます。
また、数あるご褒美消費の中でも特にお金がかかるのが「旅行」ですが、旅行費の節約方法として「海外旅行ではなく国内旅行にする」という回答が多く見受けられました。
出典:PR TIMES
現代の「ご褒美消費」を象徴するキーワード
では、若年層は何に対して「ご褒美」を感じるのでしょうか。デロイト トーマツ グループの調査データから読み解きます。
「推し活」と「メリハリ消費」
デロイト トーマツの調査によると、Z世代はほかの世代に比べて節約志向が高まる一方で、「ご褒美消費」への意欲が突出して高いことがわかります。特に「推し活」への消費が顕著です。
日常の支出を徹底的に抑える一方で、非日常の体験や趣味には惜しみなくお金を使う。この消費行動は「メリハリ消費」と呼ばれ、消費スタイルが二極化している可能性が高いと考えられます。
高単価商材(ラグジュアリー・衣料品)のEC利用率の高さ
Z世代の特筆すべき点として、ラグジュアリー(贅沢品や高級品)のEC利用率が高い点が挙げられます。同調査によると、Z世代の4割以上がラグジュアリー商材や衣類をオンラインで購入しています。
Z世代はデジタルネイティブであるため、「高額だから実店舗で買うはず」という固定観念を持たず、高級品であってもオンラインで購入することに抵抗が少ないと言えます。
ご褒美消費を捉えるためのマーケティング戦略
これらのエビデンスを踏まえ、ご褒美消費に対応した実務で使えるマーケティング戦略を3つご紹介します。
1. 贅沢へのネガティブ感情(罪悪感)を軽減する
貯金志向が強い世代だからこそ、現代の若手社会人は贅沢をすることに罪悪感(後ろめたさ)や経済的不安といったネガティブな感情を抱えている可能性があります。
対策の1つは、消費に対する「言い訳(大義名分)」を提供することです。単なる贅沢品ではなく、「生活の生産性を高めるための自己投資」や「1年間頑張った心身のリセット」といった文脈で訴求します。
また、長期保証・全額返金保証・無料お試し期間などを充実させ、購入リスクを徹底的に排除することも効果的です。「失敗しても損をしない」という安心感が、経済的な警戒心を解く鍵になります。
2. リードナーチャリングとウィッシュリスト化を意識する
ボーナス時期や誕生日などは、「買う理由」はある程度決まっているものの、「何を買うか」を決めていないケースが多々あります。Z世代のEC利用率の高さを考慮し、ボーナス支給の1〜2ヶ月前からSNS上で情報を発信し、事前に「欲しいものリスト」に入れてもらうようなリードナーチャリング(見込み客の育成)が重要です。
その際、「いつも頑張っている自分を労いませんか?」と、セルフケアの必要性に気づいてもらう訴求も効果的です。トレンドが「コスパ(費用対効果)→タイパ(時間対効果)→メンパ(心理対効果)」へと変化する中、いかに顧客の心の負担や精神的ストレスを減らし、心を満たせるかを伝えることが求められています。
3. 「プチ贅沢」を叶える松竹梅の価格設定(アップセル)
前述のアメックスの調査では、「自分自身へのギフト」の出費予定額は約27,000円でした。この予算感に合わせつつ、失敗したくない心理(安心感)と自分へのご褒美感(特別感)を両立させることがポイントになります。
たとえば、上限25,000円を基準に「松:25,000円、竹:15,000円、梅:8,000円」といった価格設定を用意します。通常は真ん中の「竹」がよく売れますが、ボーナス時期のご褒美消費では「せっかくだから贅沢をしよう」と「松」を選ぶ人が増える傾向にあります。
普段の購入品よりワンランク上の「松(あるいは竹)」を選びやすくする、ボーナス時期限定のセット商材を企画することも非常に有効です。
ご褒美消費は、Z世代・ミレニアル世代の消費トレンドを象徴する重要なキーワードです。メリハリ消費を意識したマーケティング戦略を取り入れ、「それを買うことでどれだけ心が満たされ、ご機嫌になれるか(メンパ)」を顧客に届けていきましょう。
まとめ:最新トレンド「メンパ」を意識した顧客体験の提供を
Z世代・ミレニアル世代の消費傾向は、単なる「節約」ではなく、「使うべきところには使う」という非常に合理的なメリハリ消費へと進化しています。「貯金7:消費3」というシビアな現実の中で、企業が選ばれるためには以下の3点が重要です。
- 購入を正当化できる「大義名分(自己投資・心身のリセット)」を用意する
- 早い段階からSNS等でアプローチし、「欲しいものリスト」に入り込む
- 「失敗したくない」心理に寄り添いながら、ワンランク上の特別感(松竹梅)を提案する
商品の機能や価格の安さ(コスパ・タイパ)をアピールする時代から、「それを買うことでどれだけ心が満たされ、ご機嫌になれるか」というメンパ(心理対効果)が重視される時代へ移行しています。この新たな価値観に寄り添うマーケティング施策が、今後のビジネス成長の鍵となるでしょう。










