三位一体思考 ― 営業に求められる“思考の武器”

現代の営業において、単なる商品説明や価格競争だけでは、勝ち残れない社会状況になってきています。顧客の課題やニーズを正確にとらえ、先回りして打ち手を提案するには、「自分で考える力」が問われる時代です。その中核となるのが、三位一体思考になります。

  • ロジカルシンキング(論理的思考)
  • クリティカルシンキング(批判的思考)
  • ラテラルシンキング(水平思考)

この3つは、単独では不完全なものの、組み合わせると弱点を補い合うことが可能です。ビジネスに応用して考えると、営業の質を飛躍的に高める“思考のフレーム”になります。

1. ロジカルシンキング:論理で理解し、納得を得る

ロジカルシンキング(論理的思考)は、物事を筋道立てて整理・説明するための思考です。因果関係や優先順位を明確にします。

営業における活用例:

  • 顧客の課題を「原因→結果→解決策」に分解して考える
  • 競合比較やコスト試算を“数字”で裏づける
  • プレゼン構成をピラミッド構造で組み立てる

陥りがちな罠:

  • 「論理的すぎて冷たい」印象になる
  • 顧客の“感情”や“背景”を見落としがち

2. クリティカルシンキング:疑い、深掘り、本質に迫る

クリティカルシンキング(批判的思考)は、前提や情報の正しさを疑い、思い込みを排除して本質を見極める思考です。

営業における活用例:

  • 顧客の要望に対し「なぜそれが必要か?」を繰り返す
  • 「自社の提案が本当に最適か?」を立ち止まって再検討する
  • 「決裁者の本音は何か」を相手の言動から推測する

陥りがちな罠:

  • 疑ってばかりで動けなくなる(“慎重すぎ”になる)
  • 否定的・批判的に見えやすい

3. ラテラルシンキング:発想を飛ばし、常識を突破する

ラテラルシンキング(水平思考)は、固定観念にとらわれず、別の視点や方法から新たな解決策を考える思考です。

営業における活用例:

  • 「販促予算がない」→「口コミやユーザー投稿で拡散する企画は?」
  • 「競合が多すぎる」→「勝負する土俵を変えてみる」
  • 商品ではなく“使い方の体験”を提案する

陥りがちな罠:

  • アイデアが突飛すぎて、実行力が伴わないことも
  • 論理や根拠が弱いと、ただの“思いつき”に見える

三位一体で活きる、営業の「課題発見→提案→説得」プロセス

営業で必要になる思考は、以下のようになります。

フェーズ必要な思考具体的な問いかけ
ヒアリングクリティカル「この課題は本当に解決すべきことか?」
分析・整理ロジカル「構造的に見ると、どこがボトルネックか?」
アイデア発想ラテラル「この状況、まったく別の角度から考えられないか?」
提案・説明ロジカル+ラテラル「納得感と驚きの両方を感じてもらえるか?」
決裁者への対応クリティカル「相手の前提・価値観を誤解していないか?」

結論:思考を“組み合わせて”使う営業こそが、AI時代の価値を持つ

ロジカルシンキングだけでは、説得はできても共感は生まれません。クリティカルシンキングだけでは、深く考えても提案にたどりつけません。ラテラルシンキングだけでは、面白くても実行可能性に乏しくなります。

だからこそ重要なのは、「3つを意識的に切り替える」「バランスよく使い分ける」こと。三位一体の思考を武器にすれば、あなたの営業は“AIにはできない価値”を提供できるようになります。

この記事の著者

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