AISDALSLoveとは?AIDMAやAISASに代わる広告効果階層モデル

このコラムは次のような方に向けて執筆しています!


デジタル時代の到来で消費者行動は複雑化し、広告を見てすぐ購入する直線的な流れは過去のものになりました。現代の広告設計では、購入前後の体験や口コミ・SNSでの共有、最終的な愛着(Love)の形成まで視野に入れる必要があります。そこで注目したいのがAISDALSLove(エイスダルスラブ)。本記事では、モデルの概要、AIDMA・AISASとの違い、実務での活用ポイントを解説します。

AISDALSLoveとは

AISDALSLoveは、インドネシアの研究者 Bambang Sukma Wijaya 博士が提唱した広告効果階層モデル(2011年発表、2012年学術誌掲載)です。従来のAIDA(注意→興味→欲求→行動)を拡張し、検索・評価(好き/嫌い)・共有・愛着(Love/Hate)を含む全8段階で、デジタル時代の消費者行動を可視化します。

8つのステップ(全体像)

段階内容広告施策の例
Attention(注意)広告や情報に気づき、商品・サービスを認識するディスプレイ/動画広告、屋外/交通広告、認知クリエイティブ最適化
Interest(興味)関心を持ち、さらに詳しく知りたいと感じる記事LP、比較/解説コンテンツ、SNS投稿、メールでの深掘り
Search(検索)口コミ・レビュー・価格などを能動的に調べるSEO/FAQ整備、レビュー活用、競合比較表、指名検索の強化
Desire(欲求)「欲しい・使いたい」という購買意欲が高まる導入事例・お客様の声、ベネフィット訴求、限定オファー、返金保証
Action(行動)購入・申込・体験など具体的なアクションを取るCVボタン最適化、フォームUX改善、リスティング/リマーケ、カート放棄対策
Like/Dislike(好き嫌い)体験後に好意/不満などの評価感情が形成されるオンボーディング、プロダクトUX改善、サポート体制、NPS/レビュー回収
Share(共有)SNS・口コミ・レビューで体験を発信するUGCキャンペーン、シェア特典、レビュー依頼/自動リマインド、アフィリエイト
Love/Hate(愛憎)ブランドへの愛着(ファン化)または拒絶が定着コミュニティ運営、会員プログラム、サプライズ&デライト、解約抑止/カムバック施策

AISDALSLoveは購買前後の行動と感情までを網羅し、LTVやブランドロイヤルティ向上を狙う広告・CRM設計と相性が高いモデルです。

AISDALSLoveとAIDMA・AISASの違い

類似モデルと比べたときの網羅性実務適合性がポイント。AISDALSLoveは「検索」「共有」「感情形成」「愛着」まで含むため、デジタル/ソーシャル環境での現実的な意思決定プロセスを捉えやすくなります。

効果階層モデル段階特徴/弱点
AIDMA注意→興味→欲求→記憶→行動SNS・口コミや購買後の感情形成を考慮しないのが弱点
AISAS注意→興味→検索→行動→共有購買後の好悪やブランド愛着の形成までは追いにくい
AISDALSLove注意→興味→検索→欲求→行動→好き嫌い→共有→愛憎AIDMA/AISASの弱点を補完。デジタル/SNS時代に最適化された進化型

AISDALSLoveの広告活用ポイント

広告は「配信して終わり」ではありません。AISDALSLoveを使い、購入前~購入後~愛着形成まで一連の体験を設計することが、成果の持続性とLTV最大化につながります。

  • UGC/SNS戦略と連動:Search→Share→Loveの流れを設計し、レビュー/クチコミを活性化
  • NPSやレビューの定点観測:Like/Dislikeを定量化し、CX改善に素早く反映
  • リピーター/コミュニティ設計:会員特典・イベント・限定コンテンツでLoveを強化
  • オファーの段階最適化:Interest/Desireではベネフィット訴求、ActionではUXと限定性で後押し
  • 計測の拡張:CVだけでなく、レビュー投稿率・シェア率・解約率など中間KPIを追う

AISDALSLoveの関連記事紹介

購買行動モデルはカスタマージャーニー設計と親和性が高い概念です。以下のモデルも併せて押さえると、広告以外のタッチポイント設計がスムーズになります。

  • AIDA / AIDMA / AISAS / AISCEAS / VISAS / SIPS / AIDCA / DECAX / AISEPAM / ULSSAS / AMTUL / RsEsPsモデル / 5A理論

あわせてこちらもご覧ください:AIDMAはもう古い!? 最新購買行動モデルを徹底解説【2022年最新版】

まとめ

AISDALSLoveは、デジタルやSNS時代に対応した8段階の効果階層モデルです。購買の前後にわたる行動や感情を可視化できるため、LTVやブランドロイヤルティの向上を目指す広告戦略に大きな力を発揮します。単なる広告配信にとどまらず、体験設計から共有、そして愛着形成まで一貫してデザインすることが、成果を持続させるための鍵となります。

この記事の著者

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