「休日返上で仕事しろ」など、無理難題な短納期要求をしてくるクライアントはいませんか?こうしたわがままな顧客に付き合っていたら、ストレスがたまる一方です。では、何か法的な対応はできるのでしょうか?
結論から言うと、金銭的なトラブルや警察沙汰まで発展していない限り、法的措置は難しいケースがほとんどです。ここでは、無茶ぶりな短納期要求をするクライアントへの対応ヒントを解説します。
顧客の無理難題な短納期要求は、法的措置が困難
顧客の無理難題な短納期要求だけでは、法的措置をとるのは難しいです。度を越したケースであれば可能性はあるものの、そのハードルは非常に高いのが実情です。
2025年現在、カスハラを直接規制する法律は存在しません。ただし関連する法令や条例はあります。代表的なものは以下の2つです。
下請法(下請代金支払遅延等防止法)
下請法は「不当な買いたたきや代金未払い」を規制する法律です。単に無理な短納期要求をするだけでは、違反にはなりません。
ただし、緊急対応を強要しながら「通常料金」で処理させる場合は下請法違反の可能性があります。一方で「特急料金」を支払えば、違反とならないケースが多く、法を盾にするのは難しいのが実情です。
東京都カスタマー・ハラスメント防止条例
この条例には罰則規定がありません。抑止効果はあるとされますが、下請法と比べて効力は弱いと考えられます。条例の主眼は「啓発」であり、現時点では実効性のある活用は難しいのが現状です。
顧客の無理難題な短納期要求は、どう対応する?
現状では、カスハラに対して法的措置を取るのは難しいといえます。そのため、実務的には以下のような対応が考えられます。
- 無理な要求は断る
- 取引停止を検討する
- コーポレートサイトで「カスタマーハラスメントに対する方針」を公表する
- 度を越した悪質な顧客には警察に通報する
顧客対応で疲弊しないためには、「どこまで応じるか」の線引きを明確にし、毅然とした対応を取ることが大切です。