企業経営に新しい波が押し寄せています。それは「パーパス経営」という考え方。企業が存在する目的を中心に据えた経営手法が、なぜ今、注目を浴びているのでしょうか。この記事ではパーパス経営の背景からその実践方法までを詳しく解説します。
パーパス経営とは?
パーパス(purpose)経営とは、企業の存在意義(なんのために自社が存在するのか)に主軸に考える経営です。
パーパス(purpose)は、直訳すると、目的・目標・意図といった意味になります。
パーパス経営の始まりは2018年とされ、アメリカの大手投資運用会社ブラックロックのラリー・フィンク氏が「パーパスの重要性」を提唱したことが発端と言われています。
パーパス経営が注目される理由
パーパス経営が注目されている理由や背景は、主に以下の3つになります。
1.SDGsやサステナビリティ経営の浸透
パーパス経営が注目されるようになった大きな背景としては、SDGsやサステナビリティ経営の取り組みが浸透したことが挙げらえます。
ちなみに、SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、持続可能な開発目標という意味です。
サステナビリティ経営とは、環境・社会・経済いう3つの観点で持続可能な状態を目指す経営になります。
要するに、持続可能な社会を実現するためにも、パーパス経営が必要されているのです。
2.DXに取り組む企業の増加
DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が増していく一方で、DXツール導入という手段の目的化も起きていることも、パーパス経営が注目される理由の1つです。
DXを推進すると、会社のPR活動になったり、補助金が出たりして、DXそのものが目的になってしまうケースがあるのです。
そのため、なんのためにDXを推進するのかという目的を見直す意味でも、パーパス経営は注目されています。
3.ミレニアル世代の台頭
社会貢献への意識が高いと言われるミレニアル世代(1981年~1996年頃に生まれた世代)の台頭も、パーパス経営の注目に影響しています。
ミレニアル世代はいまや社会人として、企業活動や消費行動といった面で日本を支える世代になりました。
パーパス経営は、このミレニアル世代と相性がよく、いまの時代とマッチしていると言えるのです。
パーパス経営の取り組み方
パーパス経営の取り組み方は、大きく分けると、以下の3ステップです。
1.自社のパーパスを明文化する
まずは、自社の存在意義を明確に定義すること、すなわちパーパスの明文化が必要です。
パーパスを明文化するときのコツは、「社会貢献性が高い」「社員が共感できる」「内容がわかりやすい」「自社に関連する」「実現可能性が高い」といった要素を満たすことです。
2.社内でパーパスを浸透させる
パーパス(自社の存在意義)を明文化できたら、それを社内に浸透させましょう。
社内会議や社内報などを通じて、社員1人1人にパーパスを伝えていくことで、全社一丸となって社会貢献していくことができます。
3.パーパスを実践する
社内でパーパス(自社の存在意義)が浸透したら、あとは実践あるのみになります。
実際に社会貢献活動を行うことはもちろん、理解や共感を得たり、認知拡大をしたりする広報活動も欠かせないでしょう。
パーパス経営のまとめ
経営のトレンドが移り変わる中、パーパス経営は企業の永続的な成長と社会の持続可能性の双方を追求する新しい指針として台頭してきました。自社の存在意義を見つめ直し、そのパーパスを中心に経営を進めることで、企業はより大きな意義と価値を社会にもたらすことができるでしょう。今後もこの経営手法の進化と、それによって生まれる新しい社会貢献の形に注目していきたいですね。