効果抜群の広告心理学テクニック15選。心理効果や活用事例を解説
広告心理学とは、広告が消費者に与える心理的影響や行動的影響をまとめた心理学です。
本記事では、数ある広告心理学のテクニックのなかでも、特に効果の高い15の手法を厳選しました。
潜在層・準顕在層・顕在層別に、有効な心理的アプローチを5つずつ紹介します。
15種類すべての「心理効果」「活用事例」を掲載していますので、ぜひ広告・マーケティング戦略の参考にしてみてください。
目次
まずは、ターゲットを理解すること!
広告心理学が効果的に機能するためには、ターゲットとなる顧客層を理解することが重要です。顧客層には主に3つのカテゴリがあります。それは、潜在層、準顕在層、そして顕在層です。これらの層は、潜在層から始まり、準顕在層へと進化し、最終的には顕在層へと至る、漏斗のような構造を持っています。この流れにおいて、見込み顧客の数は逐次減少していきます。
潜在層・準顕在層・顕在層について、もう少し詳しく説明しましょう。
認知段階の「潜在層」
潜在層とは、購入する見込みの低い顧客であり、「まだまだ客」とも呼ばれます。
潜在層の消費者心理としては、購買意欲が低く、まだ買う気はありません。
この顧客層に売り込もうとすると、逆に購買意欲をなくす恐れがあるので、「知ってもらう」程度に留めておきましょう。
AIDMAの法則でいうと、認知の段階です。
要するに商品・サービスを認識するフェーズになります。
AIDMAの法則について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参照ください。
興味・欲求・記憶段階の「準顕在層」
準顕在層とは、購入する見込みのある顧客であり、「そのうち客」または「お悩み客」とも呼ばれます。
準顕在層の消費者心理としては、購買意欲はあるのですが、まだ迷っている状態です。
AIDMAの法則でいうと、興味・欲求・記憶の段階です。
要するに「気になる」「欲しい」「思い出す」といった感情フェーズにいます。
購入段階の「顕在層」
顕在層とは、購入する見込みの高い顧客であり、「今すぐ客」とも呼ばれます。
顕在層の消費者心理としては、購買意欲は高く、買う気満々の状態です。
この顧客層は、購入する意思があるので、直接的に購入を促しても問題ありません。
AIDMAの法則でいうと、購入の段階です。
言い換えると、行動フェーズにいます。
それでは潜在層・準顕在層・顕在層別に、効果的な心理学的アプローチをお伝えしていきます。
潜在層に効果抜群の広告心理学5選
潜在層(まだまだ客)に有効な広告心理学のテクニックは、「カクテルパーティー効果」「カリギュラ)効果」「スノッブ効果」「アンダードッグ効果」「アンカリング効果」の5つです。
カクテルパーティー効果
カクテルパーティー効果とは、自分の興味・関心のある情報に注意が向き、それ以外には注意が向かない心理現象です。
人間には、選択的注意という認知機能が備わっており、自分にとって重要な情報に注意を向ける傾向があります。
心理効果 | ターゲットを振り向かせることができる。 |
活用事例 | 「新入社員に贈る」「BtoB企業必見」「仕事がうまくいかず悩んでいませんか?」 のような広告表現 |
カリギュラ効果
カリギュラ効果とは、禁止されると、逆に気になってしまう心理現象です。
日本の昔話『鶴の恩返し』で、「絶対に部屋をのぞかないでください」という約束が守られなかったのは、カリギュラ効果が一因でしょう。
心理効果 | 消費者の興味を引き、成約率やクリック率の向上につなげる。 |
活用事例 | ・「絶対に見ないでください!」と訴求する動画広告 ・「やせたい方以外は、買わないでください」といった注意書きのチラシ |
スノッブ効果
スノッブ効果とは、「人と違うものが欲しい」と思う心理です。
人は限定性・希少性の高いものに価値を感じ、それを入手することで優越感を満たします。
心理効果 | 限定性・希少性を訴求して、「欲しい!」と思わせる。 |
活用事例 | ・「先着1,000名様は、初回限定版DVDつき」と訴求したCD ・「150周年限定記念モデル」をうたった腕時計 |
アンダードッグ効果(負け犬効果)
アンダードッグ効果(負け犬効果)とは、不利な状況で頑張っている人を応援したくなる心理です。
何か不幸なことが起きたチームに、同情票が集まり逆転勝利するといった現象は、アンダードッグ効果によるものと考えられます。
心理効果 | 弱さを見せると、応援の気持ちで、購入してもらえることがある。 |
活用事例 | ・「材料費が3倍に高騰して苦しいです」といった訴求 ・「お店が倒産しそうです。助けてください」という思い切ったチラシ |
アンカリング効果
先に提示された数字や情報(アンカー)によって、その後の意思決定に影響を与える心理現象です。
たとえばメーカー希望小売価格で高い価格を知らせてから、少し割引いた実売価格を伝えることで、お得感を感じさせることができます。
心理効果 | 高い値段を言ったあとに、安い値段を提示すれば、お得感を演出できる。 |
活用事例 | 「希望小売価格5万円のところ、3万円でご提供します」といった訴求 |
準顕在層に効果抜群の広告心理学5選
準顕在層(そのうち客/お悩み客)に有効な広告心理学のテクニックは、「ザイオンス効果」「シャルパンティエ効果」「決定回避の法則」「認知的不協和」「フレーミング効果」の5つになります。
ザイオンス効果(単純接触効果)
ザイオンス効果(単純接触効果)とは、単純に接触回数が増加するほど、好意や印象が高まるという心理です。
興味のないことも、繰り返し目にしていると、人は好感をもちやすくなります。
心理効果 | 接触回数を増やすだけで、好感度アップが図れる。 |
活用事例 | よく目にするテレビCM、屋外広告の看板など |
シャルパンティエ効果
シャルパンティエ効果とは、同じ重さのものでも、体積が大きいと軽いイメージをもつ心理的な錯覚です。
たとえば「10kgの綿菓子(わたがし)」と「10kgの鉄」では、「10kgの鉄」のほうが重そうに感じる傾向があります。
心理効果 | 心理的な錯覚を利用して、たくさんあるように見せることができる。 |
活用事例 | 「レタス3個分の食物繊維」といった広告表現を使ったポップコーン (ちなみに、レタス100gに含まれる食物繊維は1.1g) |
決定回避の法則(ジャムの法則)
決定回避の法則とは、選択肢が多くなると、1つものに決められなくなるという心理法則です。
ジャムの販売実験で、「24種類のジャムの購買率は3%」「6種類のジャムの購買率は30%」だったことから、ジャムの法則とも呼ばれています。
心理効果 | 選択肢を絞り込むと、購入率が上がる。 |
活用事例 | 「当店のおすすめ」と「おすすめの理由」とを提示した広告 |
認知的不協和
認知的不協和とは、自分の価値観や信念に矛盾が生じたときに、不快感になる心理現象です。
たとえば「ダイエットしなきゃ」と思いつつも、たくさん食べてしまったら、罪悪感から自分を正当化し始めることが挙げられます。
心理効果 | 自己正当化をサポートする情報は、受け入れてもらいやすい。 |
活用事例 | 「たくさん食べてもOK」「見るだけでOK」のような、望ましくない行動も 正当化してくれる広告フレーズ |
フレーミング効果
フレーミング効果とは、言い方や表現方法を変えるだけで、与える印象がガラッと変わる心理現象です。
たとえば「コップの水が、あと半分しかない」「コップの水が、まだ半分もある」は、同じことを言っているが、与える印象は大きく異なります。
心理効果 | 言い方を変えるだけで、売れる可能性が高まる。 |
活用事例 | ・「タウリン3g配合」ではなく「タウリン3,000mg配合」とうたった栄養ドリンク ・「不合格率3割」ではなく「合格率7割」と訴求した塾のチラシ |
顕在層に効果抜群の広告心理学5選
顕在層(今すぐ客)に有効な広告心理学のテクニックは、「バンドワゴン効果」「プロスペクト理論」「ウィンザー効果」「ハロー効果」「松竹梅の法則」の5つです。
バンドワゴン効果
バンドワゴン効果とは、多くの人が支持している商品・サービスを消費したくなる心理効果です。
人気ランキング上位のものや、口コミ・評判のよいものは、基本的に購買意欲が高まります。
心理効果 | 多くの人が「いい」と言えば、信用性が高まる。 |
活用事例 | ・「当店人気ナンバー1」と書かれたPOP広告 ・「1年先まで予約が埋まっている」といった広告表現 |
プロスペクト理論
プロスペクト理論とは、人は「損したくない」という強い認知バイアスがかかるという行動経済学の理論です。
この損失回避バイアスにより、購入するメリットを訴求するよりも、購入しないことによるデメリットを訴求した方が、消費者を動機づけしやすい傾向があります。
心理効果 | ベネフィット獲得よりも、リスク回避のほうが動機づけされやすい。 |
活用事例 | ・期間限定の割引や人数限定などを通じて「このチャンスを逃すと、もったいない」 と訴求すること ・「満足いただけなければ、全額返金保証します」といった広告フレーズ |
ウィンザー効果
ウィンザー効果とは、広告主が発する情報よりも、第三者が発する情報のほうが信頼を得られやすいという心理効果です。
自分で自分をほめるより、他人が自分をほめているほうが、信憑性は高くなります。
心理効果 | 第三者の言葉なら、信じてもらいやすい。 |
活用事例 | お客様の声を掲載した健康食品の広告など |
ハロー効果
ハロー効果とは、たとえば好感度の高い有名人が宣伝することで、宣伝する商品にも高い好感度が波及する心理効果です。
人の認知は、バイアスがかかっており、目立った特徴に引っ張られる傾向があります。
心理効果 | 広告に有名人を起用すると、その有名人の好感度などが波及する。 |
活用事例 | ・有名女優が出演している化粧品のテレビ広告 ・「芸能人の○○も使っている」のような広告表現 |
松竹梅の法則(ゴルディロックス効果)
松竹梅の法則とは、「高価格帯(松)」「中価格帯(竹)」「低価格帯(梅)」の選択肢がある場合、「中価格帯(竹)」が選ばれやすいという心理法則です。
この三段階の選択肢から真ん中を選ぶ心理効果は、ゴルディロックス効果とも呼ばれます。
心理効果 | 3つの価格帯をつくると、真ん中の価格帯がよく売れる。 |
活用事例 | 第3世代のiPhone SEのストレージ容量は、64GB・128GB・256GBの三択 (64GB・256GBの二択にすると、64GBが選ばれる可能性が高い) |
以上が、広告心理学テクニック15選になります。
実際の広告やマーケティングで使えそうなものがありましたら、ぜひ活用してみてください。
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