エントリーフォーム最適化(EFO)の具体的な改善方法

Webサイトの入力フォームの多くは、作成後に放置されがちですが、少しもったいないかもしれません。
なぜなら、EFO対策(入力フォーム最適化)は、あまり手間がかからない割に、効果が見込めるお得な施策だからです。

そうはいっても「入力フォームをいじるのは、なんだか難しそう……」と思いませんでしたか。

しかし案外そんなこともなく、いますぐ改善できる施策もたくさんあります。
それゆえ、「コンバージョン率(CVR)を改善したいが、どこから手をつけていいかわからない」という方には、真っ先におすすめできます。

今回は、EFO対策の概要、そして具体的な改善施策を15項目紹介していきます。
EFO対策のチェックリストとして、ぜひ活用してみてください。

EFOとは?

EFOとは、Entry Form Optimizationの略で、「入力フォーム【EF】最適化【O】」もしくは「エントリーフォ最適化」という意味です。

【EF】入力フォーム/エントリーフォームとは
申し込みフォーム・お問い合わせフォーム・会員登録フォームなどの入力欄。
ちなみにフォームとは、記入欄という意味で、個人情報などを記入する箇所です。
【O】最適化とは
フォーム通過率 (≒コンバージョン率:CVR)などを改善し、全体最適を図ること。

EFO対策は、主にユーザーの途中離脱を防ぐことを目的に、入力フォームを改善して、全体最適を図ることを指します。
言葉だけではイメージしづらいと思いますので、実際の入力フォームを見てみましょう。

このような入力フォームを最適化する施策が、EFOあるいはEFO対策と呼ばれるものです。

EFOの重要性

Webサイト設計やWebマーケティングにおいて、EFO対策が重要な理由は、主に3つあります。

  • ユーザーの離脱防止につながるから(EFOの平均離脱率70%)
  • 成約直前のフェーズゆえ、直接コンバージョン率向上に結びつくから
  • あまり手間がかからない割に、効果・成果が見込めるから

このような理由から、「コンバージョン率(CVR)を改善したいが、どこから手をつけていいかわからない」という方には、特におすすめです。

EFOの誤解

EFO対策でよく言われるのは、入力フォームの項目数を減らせば、ユーザーの手間が少なくなり通過しやすくなるという話です。

しかし、この入力項目を減らす施策は「半分間違いで、半分正しい」とも言えます。
ただ「フォーム項目数を減らせば、フォーム通過率が増える」といった単純な話ではないのです。

補足すると、フォーム通過率とは、入力フォームの必須項目をすべて記入して、送信ボタンや登録ボタンを押してくれる人の割合です。
フォーム通過率は、成約率のことでもあり、コンバージョン率(CVR)とも言い換えられます。

下のグラフは、HubSpot社が、同社の顧客40,000社を超えるランディングページを分析し、入力フォームの項目数とコンバージョン率の関係を調べた結果です。

(画像引用元:HubSpot)https://blog.hubspot.jp/efo

このグラフから読み取れることは、以下のとおりです。

  • フォーム通過率(CVR)第1位は、フォーム項目数3つ
  • フォーム通過率(CVR)第2位は、フォーム項目数5つ
  • フォーム通過率(CVR)第3位は、フォーム項目数4つ

ただ一方で、設問数が6個以上になると、逆比例してフォーム通過率は下がっています。

この調査結果から、入力項目を減らす施策は「半分間違いで、半分正しい」と言えるのです。

また、フォームの設問数を少なくしすぎると、別の問題も発生することもあります。
たとえば、ホットリード(成約する見込みが高い顧客)とコールドリード(成約する見込みが低い顧客)の見分けがつかなくなるのです。
営業人員が不足している場合は、ホットリードのみの獲得を狙って、わざと入力フォームの項目数を増やすこともあります。

このように、入力フォームの項目数は減らしたほうがよい場合もある一方で、増やしたほうがよい場合もあるのです。

EFOのKPI

EFO施策の良し悪しを判断する効果測定は、Googleが無償提供するアクセス解析ツール「Googleアナリティクス」を使って行います。

EFOの大まかな流れは、「入力ページ→確認ページ→完了ページ」です。
この3つのフェーズごとに、Googleアナリティクスで、以下のような閲覧数や到達率を計測できます。

  • 入力ページ閲覧数(入力ページを閲覧した数)
  • 確認ページ閲覧数(確認ページを閲覧した数)
  • 完了ページ閲覧数(完了ページを閲覧した数)
  • 確認ページ到達率(入力ページから確認ページに到達した割合)
  • 完了ページ到達率(入力ページから完了ページに到達した割合)

これらをKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)、簡単に言うと数値目標として設定します。

ちなみにEFOに関する詳細情報、つまり個別の入力項目にまつわる情報は、別途EFOツールを用意しないと測定できません。

EFO対策のチェックリスト15項目

具体的なEFO対策

以降、やや細かい話にはなりますが、具体的な改善施策を15項目紹介していきます。
EFO対策のチェックリストとして、ぜひお役立てください。

1.必須項目をわかりやすくする

入力項目が「任意項目」と「必須項目」が分かれている場合、何が「必須項目」なのか、わかりやすく表示する必要があります。
具体的には、“必須マーク”を赤などの目立つ色にして、確実に目に入るように工夫します。

その理由としては、必須項目の見落としは、ユーザーが途中で離脱する原因になるからです。
「必須項目が入力されていません」といったエラーメッセージが出ると、「面倒臭い」と思って、入力作業をやめてしまう恐れがあります。

ちなみに、「任意項目」をなくしてしまって、すべて「必須項目」にするというやり方も有効です。

2.入力ルールを明示する

「全角・半角の指定」や「使用できない記号の有無」といった入力のルールがあるときは、わかりやすく表示することが重要です。

間違った方法で入力したあとに、「全角で入力してください」などとエラー表示されると、もう一度やり直しになります。
その結果、ユーザーは入力する気が失せてしまって、離脱しかねません。

3.ほかのページへのリンクをなくす

入力フォームのページに、ほかのページへのリンクを貼るのは極力控えましょう。
なぜなら、ユーザーが入力する際に、気が散って集中できなくなるからです。

「サイドバー」「グローバルメニュー」といったWebサイトのメニューも、ここでは必要ありませんので、取っ払うことをおすすめします。

例外は、法律的に記載せざるを得ない、個人情報の取り扱いについて記載した「プライバシーポリシー」のページです。
ほかのページのリンクは、「プライバシーポリシー」くらいにするのが理想と言えます。

4.CVボタンは目立つ色にする

コンバージョンボタン(申し込みやお問い合わせのボタン)は、できるだけユーザーの注意を引くためにも、目立つ色にするのが基本です。

おすすめの色の一例を挙げると、Webサイトのベースカラーと正反対の色(補色)です。
たとえば、Webサイトのベースカラーが緑なら、コンバージョンボタンの色を赤っぽいにすると際立ちます。

ただ、いくら目立つ色といっても、ビビットカラー(鮮やかすぎる赤などの純色)は、目がチカチカしてしまうので、目に優しい色を使うのがおすすめです。

5.入力アシスト機能を導入する

ユーザーの入力負担を軽減するためにも、入力アシスト機能を積極的に活用しましょう。

たとえば郵便番号を入力すれば、住所の一部が自動入力されるようにする機能です。
名前のふりがなも、自動入力されるような設定が推奨されます。

6.リアルタイムエラーを表示する

すべての入力が終わって、申し込みやお問い合わせのボタンを押したあとに、エラーメッセージが表示される仕組みになっていたら、改善の余地があります。

そうではなく、1つ1つの項目でご入力があった直後に、エラーメッセージを表示してあげたほうが親切でしょう。

7.ID連携をする

GoogleやYahoo! JAPAN、Amazon、はたまたSNSアカウントのID情報と連携できるようにするのも1つの手です。

ID連携が可能になれば、ユーザーは連携の設定をするだけで、煩わしい入力作業から解放されます。

8.ナビゲーション機能を実装する

ガイドナビゲーション機能を実装すると、ユーザーのストレス軽減につながります。

ガイドナビゲーション機能とは、残りの必須項目数をリアルタイムで表示する機能です。
作業完了までのゴールを逐一確認できるため、ユーザーは安心して記入できます。

9.埋め込みフォームを使用する

申し込みやお問い合わせのボタンを押して、入力フォームに移動するのが、最適な方法とは限りません。

たとえばランディングページ(販売ページ)などに、入力フォームを埋め込んでしまうことも可能です。
入力フォームに移動する手間がないぶん、気軽に記入してもらえます。

10.入力項目数を減らす

アンケート欄や氏名のふりがな欄など、省いても大きな支障がないものは、消しておくのが無難です。

たとえ入力する必要のない任意項目であっても、パッと見て「たくさん入力項目がありそう」と思われるため、離脱されるリスクが高くなります。
必須項目であろうと、任意項目であろうと関係なく、省けるものは省略しましょう。

11.スマホでも見やすくする

入力欄(入力フィールド)を大きくし、スマートフォンでも入力しやすくしましょう。

たとえば、入力項目名のあとは、下記のように改行するといった具合です。

Eメールアドレス:
〇〇〇@tsuginote.co.jp

一方、改行なしの入力欄は、横長になるためスマートフォンで見づらくなります。

Eメールアドレス:〇〇〇@tsuginote.co.jp

12.CTA別に入力フォームを用意する

「いますぐ申し込む」「お問い合わせする」「メルマガに登録する」など、CTA(Call To Action:行動喚起)の種類に応じて、入力フォームを分けることも大切です。

もしメルマガに登録するだけなら、住所や会社名などの情報は不要で、必要なのはEメールアドレスだけかもしれません。
すべて同じ入力フォームを使い回しするのではなく、求めるアクションに応じて、入力フォームを用意するようにしましょう。

13.少しでも決済しやすくする

「クレジットカードの入力作業は面倒だ」と感じるユーザーは少なくありません。

決済のストレスを少しでも軽減するために、次のような工夫をするのも大切です。

  • いろいろな決済方法を使えるようにしておく
  • 過去に保存したクレジットカードの情報を自動入力できるようにする
  • スマホのカメラでクレジットカードの番号を読み取れるようにする

14.チャット機能を活用する

購入や申し込みなどに迷っているユーザーの背中を押すには、チャット機能の活用が効果的です。

使い方の一例を挙げると、簡単な質問にはチャットボットで答えて、難しい質問にはオペレーター等による有人チャットで回答するといったやり方があります。

15.離脱防止アラートを表示する

Webサイトの訪問者は、間違えて「ブラウザバック(戻る)ボタン」を押してしまうこともあるので、離脱防止アラートを表示すると親切です。

警告文の例としては、「本当に、このページから移動しますか?入力したデータは保存されません」になります。
1から情報を入力し直すのは手間がかかるので、ひと言聞いてあげましょう。

まとめ

EFOの具体的な改善方法15項目を改めて整理すると、以下のとおりです。

1. 必須項目をわかりやすくする
2. 入力ルールを明示する
3. ほかのページへのリンクをなくす
4. CVボタンは目立つ色にする
5. 入力アシスト機能を導入する
6. リアルタイムエラーを表示する
7. ID連携をする
8. ナビゲーション機能を実装する
9. 埋め込みフォームを使用する
10. 入力項目数を減らす
11. スマホでも見やすくする
12. CTA別に入力フォームを用意する
13. 少しでも決済しやすくする
14. チャット機能を活用する
15. 離脱防止アラートを表示する

このなかで、いますぐ改善できそうなところはありませんか。
簡単にできることから、少しずつ改善していきましょう。