2030年問題って知ってる?労働力不足や年金・医療費問題の解決策は?

2030年問題とは、日本の少子高齢化や人口減少により、2030年までに顕在化が予想される数々の社会問題です。

これから日本はどんな社会になるかというと、「労働力不足」「年金や医療・介護費の増大」が課題になり、経済的衰退をたどると予測されます。

そんな日本経済を立て直す解決策としては、「IT・AIといった最新テクノロジーの活用」「女性・シニア・外国人などの人材活用」などが考えられます。

今回は、日本における2030年問題とその解決策について、簡単に解説していきましょう。

2030年問題とは、2030年の日本に起こりうる社会問題

2030年問題とは、日本の少子高齢化や人口減少の深刻化により、2030年までに顕在化が予想される社会問題(社会課題)の総称です。

特に大きな社会問題になりうるものは主に2つあり、それは「生産年齢人口の不足」「社会保障費の増大」です。
それぞれ、わかりやすく説明していきましょう。

1.生産年齢人口(労働力人口)の不足

まず、生産年齢人口、すなわち15~64歳の労働力人口の不足が懸念されています。
厚生労働省は下のグラフのように、出生率・高齢化率は下がる一方で、生産年齢人口の割合は高くなると、「日本の人口の推移」を予測しているのです。

(画像引用元:厚生労働省「日本の人口の推移」)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000055150.pdf

このように少子高齢化が進み、人手不足に陥れば、日本のGDP(国内総生産)や国際的な競争力に悪影響を与えます。
簡単に言うと、日本経済が、中長期的に衰退する恐れがあるのです。

2.社会保障費(年金や医療・介護費)の増大

次に、以下のような社会保障費が、確実に増えると予測されます。

  • 年金保険料
  • 医療保険料(健康保険料や後期高齢者医療保険料)
  • 介護保険料

下のグラフは、厚生労働省による社会保障費の増加予測(平成24年3月の時点)になります。

(画像引用元:厚生労働省「社会保障に係る費用の将来推計」 )https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/dl/shouraisuikei.pdf

少子高齢化社会になれば、年金・医療・介護保険料への影響は避けられず、社会保障料は増大してしまうのです。
生産年齢人口が減る一方で、日本の人口の約1/3にも及ぶ高齢者を働き手が支えることになります。

上記2つが、これから大問題になるのは、ほぼ確実と言えます。
日本経済を衰退させないためにも、2030年問題の解決は急務と言えるでしょう。

解決策1.IT・AIといった最新テクノロジーの活用

では、2030年問題の筆頭に挙げられる「人手不足の問題」「社会保障制度の問題」を解決するには、どうすればいいのでしょうか。

1つの解決方法としては、最新テクノロジーの活用を通じて、労働生産性の向上を図ることです。
補足すると、労働の量ではなく、労働の質を上げるという発想になります。

最新テクノロジーの活用とは、IT・AI・ロボットなどの最新技術を導入して、たとえばDX(デジタルトランスフォーメーション)ツールなどを活用することです。
なお弊社ツギノテでは毎日、「DXツールにまつわる最新ニュース」を発信しています。
最新のIT・DXテクノロジーに興味がある方は、ぜひご覧になってください。
https://tsuginote.co.jp/dx-news/

解決策2.女性・シニア・外国人などの人材活用

2030年問題である「人手不足の問題」「社会保障制度の問題」を解決する、もっと直接的な方法としては、多様な人材の活用が挙げられます。
補足すると、労働力人口の増加、すなわち労働する人の数を増やすという発想です。

多様な人材の活用とは、「女性」「シニア」「外国人」などの活躍を促す取り組みになります。
それぞれ簡単に説明していきましょう。

女性人材の活用

女性人材を活用するには、出産前後や育児中の時短勤務、そして復帰したあとも働きやすい体制・制度がポイントです。
たとえば、テレワークがOKになるだけでも、仕事と子育ては両立しやすくなります。

シニア人材の活用

シニア人材を活用するには、体力・健康の問題への理解が大切です。
たとえば、身体への負担が少ないような職務内容や時短勤務可能などの配慮が必要になります。

外国人人材の活用

外国人人材を活用するには、外国人労働者の受け入れ体制を整える必要があります。
たとえば、日本人より複雑な手続きや研修など、外国人を受け入れる際の課題はたくさんあるのです。

また女性・シニア・外国人のほかに、「障がい者」も働きやすいように、障がい特性に応じた取り組みも大切です。

環境問題対策やGXへの取り組みも重要

ここで、数ある2030年問題の1つである「環境問題」についても言及しておきます。
そもそもの問題として、人間が住めないような地球環境になれば、労働力問題・社会保障問題うんぬんとは言っていられません。

環境問題の一例としては、地球温暖化の深刻化が挙げられます。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)という国際政府組織は、2030年ごろに気温が1.5℃上昇すると、IPCC第6次評価報告書(2021年)で公表しているのです。

このような年々悪化している環境問題への対策を行う変革も大切で、これはGX(グリーントランスフォーメーション)とも呼ばれています。

この環境問題対策に関しては、日本のみならず、世界全体で取り組む必要があります。

日本の2030年問題と解決策のまとめ

最後に、日本における2030年問題と解決策について、改めて整理しましょう。

日本の2030年問題とは、日本の少子高齢化や人口減少に伴い、2030年までに「労働力不足」や「年金や医療・介護費の増大」が課題になることです。

その主な解決策としては、「IT・AIといった最新テクノロジーの活用」「女性・シニア・外国人などの人材活用」が考えられます。

また環境問題対策として、GX(グリーントランスフォーメーション)に取り組むことも大切です。

日本経済を衰退させないためにも、いまできることから始めていきましょう。