iOS とWindowsでは、「検索履歴が追跡された広告が出る、出ない」といった違いがあるのをご存知でしょうか。
Apple製品は、個人情報が漏洩防止が徹底され、ITPというCookie制限機能がついています。Appleは、多くの人が気がつかないところで、大切な個人情報を守ってくれていたのです。
今回は、個人情報を守るITPという機能、および、ITP導入の背景についてお伝えします。
ITPとは
ITP(アイティーピー)とは、Intelligent Tracking Preventionの略で、AppleのSafariにおけるCookieを制限する機能です。Cookie(クッキー)とは、ユーザーの情報を一時的にWebブラウザに保持しておく機能のこと。要するに、ITPは、Appleユーザーの情報をトラッキングを防止する機能のことです。
参考までに、Apple(日本)公式サイトの「プライバシ- – 機能」ページの文言をご覧ください。
個人情報の漏洩を防ごうという強い意思を感じますよね。しかしなぜAppleは、ユーザーの情報を追跡できないよう、そこまで制限をかけるのでしょうか。
ITP導入の背景には「GDPR」
2016年4月のGDPR制定にともない、Appleは2017年9月より、ITPを搭載しました。GDPRとは、General Data Protection Regulationの略で、EU一般データ保護規則のことです。EU・EEA(欧州経済領域)の31か国の加盟国すべてに適用される個人データ保護を規定する法令になります。
GDPRに違反すると巨額の制裁金が課せられます。そのための対応策として、AppleはITPを導入したのでしょう。そしてAppleは、ITPによるデータ制限を徐々に強くしている状況にあります。具体的に見てみましょう。
ITPによるCookie制限を厳格化
2017年、AppleはサードパーティーCookieに制限かけました。サードパーティーCookieとは、ユーザーが訪問したドメインと違うところからも追跡できるCookieのこと。たとえば、ショッピングサイトで見ていた商品が、ニュースサイトのような関係ないサイトで、商品広告として出てくるといったことはありませんか。サードパーティーCookieに制限をかけるとは、それができなくなるということです。
そして2019年、AppleはファーストパーティーCookieにも制限をかけました。ファーストパーティーCookieとは、ユーザーが訪問したドメインと同じところから追跡できるCookieです。たとえば、あるサイトでカメラを見ていたら、そのサイト内でカメラの広告が出てくるといったことがありますよね。ファーストパーティーCookieにも制限がかかると、それすらできなくなってしまうのです。
このように、AppleはGDPR対応として、Cookieに対する規制を強めているのです。
まとめ
Appleは、GDPRという法律の影響で、個人情報の漏洩防止に乗り出しました。ユーザー情報をトラッキングできないようSafariにおけるCookieを制限しています。そのおかげで、私たちは安全にiPhoneやiPadを使うことができるのです。