「〇〇さん、今日は飲み会だから空けといて」
「来月は社員旅行だから、土日は予定入れないでね」
そんな“強制参加の社内行事”に、なんとなく違和感を覚えたことはありませんか?
これが勤務時間内の懇親会や社内イベントなら、特に問題ないでしょう。しかし勤務時間外の話になると、業務の一部ではなく、プライベートに踏み込むことになります。
こういった定時以降の飲み会や土日の社員旅行は、法律違反になる可能性があるのです。
それ、業務?それとも私生活?
労働基準法上、「業務」と認められる場合には労働時間とされ、当然ながら残業代や休日手当が発生する可能性があります。
たとえば以下の場合、「会社の指揮命令下にある=労働時間」とみなされる可能性があります。
- 上司の指示で業務時間後の飲み会に参加
- 会社主催の社員旅行に“参加必須”の雰囲気
- 上司や人事からの「出欠確認」がある
- 欠席すると評価や査定に影響するような扱いを受ける
「自由参加」という言葉の裏にあるもの
形式上は「自由参加」と言っていても、実際には断りづらい空気や、参加しないことで“不利益”を感じるようであれば、それは“暗黙の強制”です。
このような慣習が繰り返されることで、社員は心理的負担やストレスを感じ、やがてそれがハラスメントや過重労働の原因になります。
このような場合は、あなたがおかしいのではなく、会社がおかしいこと(違反行為)をしていることが疑われます。「気のせいかな」で片づけないで、社外の知人や友人にも相談してみたりするとよいかもしれません。
法令違反にあたる可能性も
業務命令は基本的に「業務時間内」にできるものであって、「業務時間外」にはできません。ただ例外として、就業規則などに特別なルールが定められており、合理的な理由があれば可能なケースもあります。
飲み会や社員旅行は、業務時間外であれば、強制参加にするのは法的問題になりえます。具体的に、以下のケースは、労働基準法違反に該当する可能性があるのです。
- 労働時間として扱うべきものに給与が発生していない
- 社員に強制的に業務外活動をさせている
反対に、業務時間内の飲み会、たとえば新入社員の歓迎会で乾杯する程度であれば、法律違反になるケースは少ないでしょう。ただし、飲めない人に無理やり飲ませようとしたり、一気飲みをさせたりすると罪に問われる可能性があります。
もし違和感を感じたら…
「こんなことで相談してもいいのかな?」と思うかもしれませんが、先々のことを考えると、早めに対処しておいたほうが気は楽になると思われます。
特に飲み会の場合は、1回きりではなく頻繁に参加を求められるケースがあるので、最初にきっぱり断っておくのが得策かもしれません。一時的には変な空気になってしまうかもしれませんが、長期的に我慢をしたくなければ、勇気を出して断ることも大切です。
2回、3回と断れば、誘いづらくなって、相手も声をかけづらくなると思います。絶対に行きたくない人は、たまにしぶしぶ承諾することも、やめておいたほうがよいかもしれません。
もし相手に何か言われても、法律違反であることを指摘すれば、安易に反論できないでしょう。ただし、けんか腰で指摘すると人間関係トラブルに発展する可能性があるので、感情的にならないように気をつけましょう。
たとえば「訴えるぞ」「外部機関に言うぞ」のような角が立つ言い方は、避けておいたほうが無難です。気を遣って、よかれと思って誘っているケースもあり、逆立てない対応が推奨されます。
まとめ:あなたの“違和感”は、正しいかも
飲み会や社員旅行が悪いわけではありません。しかし、それが強制される空気になっていたら要注意。あなたの時間も労働も、ちゃんと“守られるべき権利”です。違和感を無視せず、自分の感覚に自信を持ちましょう。