入社して数カ月で、「何かがおかしい」と心のどこかで思っている……。それは、もしかすると、ブラック企業に入社したことが原因かもしれません。
つらいのは気のせいではなく、本当に過酷な環境にいる可能性も考えられます。そういうときは無理に我慢しないで、危機感をもって適切に対処することが大切です。
勤め先がブラック企業だった場合、逃げること(会社を辞めること)は悪いことではなく、立派な自己防衛とも言えます。
“ブラック企業”ってどんな会社のこと?
「ブラック企業」と聞くと、過酷な労働やパワハラをイメージする人が多いでしょう。
厚生労働省では明確な定義を設けていませんが、一般的には次のような特徴が挙げられます。
- 長時間労働やサービス残業が常態化している
- 離職率が異常に高い
- パワハラ・モラハラが横行している
- 求人票の給料や待遇が実際と異なる
- 適切な教育体制やフォロー体制がない
- 「辞めさせない」「洗脳的な社員研修」がある
新卒社会人の場合、「これが社会の厳しさなのか」と思ってしまい、素直に受け入れてしまう可能性があります。しかし入社後しばらく経っても、心のモヤモヤが晴れなくて、「おかしいな」とぐるぐる考えてしまうかもしれません。
新卒が気づく“おかしさ”とは?——よくある5つのサイン
「この会社、もしかしてブラック企業?」と思ったら、以下の5つのサインをチェックしてみてください。
- 定時が存在しない
「うちは成果主義だから」と言われ、毎日夜遅くまでの残業。しかも残業代は出ない。気づけば週末も「勉強会」と称した社内活動。心身ともに休まらない。 - 上司・先輩の顔に笑顔がない
出社した瞬間から空気が重い。冗談や雑談がなく、淡々とタスクをこなすだけの職場。ちょっとしたミスに対しても必要以上に責められる。 - 「成長できる環境」と言われたが、放置されている
入社前の説明と違い、研修は数日で終了。現場では「見て覚えろ」「自分でなんとかしろ」という空気。質問すると「そんなのも分からないの?」と呆れられる。 - 離職の話をすると露骨に圧をかけられる
「辞めるって言ったらどうなるだろう…」という恐怖心があり、誰も辞めたがらないのではなく、“辞められない空気”がある。退職者は悪者のように扱われる。 - 求人票と待遇が違う
「土日休み」のはずが、土曜出勤が当たり前。「固定給+インセンティブ」とあったのに、インセンティブの基準は開示されない。給与明細も不透明。
会社の中にいると、異常なことも当たり前のように感じてしまうことがあります。もし「何かおかしい」という違和感を覚えたら、一歩引いて考えてみましょう。
なぜ“辞めづらい”のか?——辞めたら「負け」なのか?
多くの新卒社会人が、「会社を辞めたら人生が終わる」と極端に考えすぎてしまいます。そして、以下のような「ぐるぐる思考」が止まらなくなることがあります。
- 親にどう説明すればいいか分からない
- たった数ヶ月で辞めたら“甘え”だと思われるかもしれない
- 次の就職先が見つかるか不安
人間はストレスがたまると、どうしても視野が狭くなってしまい、0か100かでしか考えがちです。難しいことは承知で言いますが、こんなときこそ、視野を広げて考えることが重要になります。
「これってブラックかも」と思ったら、どうすればいい?
「うちの会社、ブラックかも」と思ったら、以下のような対策が考えられます。
1.記録を取る
残業時間・LINEやメールの内容・上司の発言などを記録しておきます。これらの情報は、客観的に自分の状況を把握することにも有効です。
2.外部の誰かに相談する
たとえば、家族や信頼できる先輩に相談してみるとよいかもしれません。相談窓口(労基署、若者サポートステーションなど)を利用する方法もあります。
3.転職を考える
昨今は人手不足の影響で、第二新卒採用のニーズも高まっています。自己分析やキャリアの棚卸しを始めて、第二新卒の求人に応募するという選択肢もあります。
“辞めてよかった”という声も多い
勤め先がブラックすぎた場合、「仕事を辞めて正解だった」と言う人たちがいます。ブラック企業に何年も勤めていたら、心身ともにボロボロになってしまうかもしれません。
自分の身に危険を感じたならば、逃げることは悪いこととは言いきれません。むしろ逃げて正解だったと思うこともあり、自己防衛の手段にもなります。
何をするにも体が資本で、健康でありさえすれば、何度も求人応募ができます。しかし体を壊してしまうと、長期休養が必要になり、長い空白期間(ブランク)ができてしまうかもしれません。本当に大切すべきものは、自分の体ではないでしょうか。
まとめ:違和感は、立派なサイン
違和感は当たっていることが多く、大切なサインとして受け取ることができます。
「辞めたいと思うなんて甘え」とは限りません。「今の職場に合わない自分が悪い」と思う必要もありません。
「おかしい」と思った感覚は、きっと正しいです。